Kさまの はなし

こんにちは ぽっかぽか島内です。

Kさまが娘様とお試しにいらっしゃったのは1年以上前のことでした。Kさまはお話好きで今までの仕事のことなどを皆の前でたくさん話してくださいました。

「家でまだやりたいことがあるから」と、ぽっかぽかに来ることはお断りされましたが、ケアマネジャーから「やはり通いたい」と連絡があったのは、ほどなくしてからでした。

奥様の入院がとても不安で寂しかったのでしょう。そのころからご自宅でのお一人の生活が急に難しくなりホームは入所されました。

ぽっかぽかでは冗談が本当に面白く、またよくニコニコしたくださるのでスタッフも会話を楽しませていただき、時々ほんとうに大笑いさせてもらいました。

 

そしてよく、「お金はいつ払やいいだ?商売でやってるんだで、しっかり払うで」と心配してくださいました。その都度「大丈夫ですよ。娘さんしっかり払ってくれてますよ」と言うと、いつもビックリして

「おらうちの娘 知ってる!?」

「知ってますよぉ。美人でかわいくて頭のいい娘さんですよねっ!」と言うと

ニヤニヤしながら
「そうでもねえけど いい子だよ」

といつもおっしゃっていました。
毎回ビックリする顔と ニヤニヤが可愛くて(スミマセン(*^_^*))私も毎回この会話を楽しんでいました。

いつ頃からか、口数が減り お金の心配もなくなり 動きも鈍くなられました。みんなの前で挨拶したりすることがお上手だった方です。なんとか刺激させていただこうと、立って挨拶をお願いしたり、出番を増やしてみましたが状態の進行は止められませんでした。

ある時 奥様から「娘のことばかり言っているから 今度こそはしっかり聞かせてやろうと思って 『お父さん大好きだよ 本当に感謝しているよ』と娘から言ってもらったのよ」とお聞きしました。

Kさまをお迎えに行って 車の中で二人きりの時に「Kさん、娘さんから大好きだよって言ってもらったんですね」と言うと

目を閉じがちで 表情のなくなった お顔が みるみる赤くクシャクシャになって、目にたくさんの涙をためていらっしゃいました。そしてご自分からお話されることがほとんどなくなったKさまですが

「涙でるわ・・・」と。

つい目がうるうるした私が Kさまの涙を拭いてさしあげると 今度は「今日は寒いな」とおっしゃいました。

冷たい秋雨の降る日でした。

できるだけ促してはいますが、十分に体操のできないKさま。私たちは役に立てているんだろうかと自問することもありますが、ホームを出て車に乗り、いつもと違うところへ来る。それだけでも長く続けていってほしいと思っています。

 

ふるさとは
遠くにありて
思ふもの   室生犀星

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